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前章 Chapter 6: そのアバターは絶対に裸だ(State-of-the-Art)
[Warning] 本章には明示的な性的処理(Explicit Sexual Processing)を含む。18歳以上の実行環境を推奨する。
先輩と話した日の夜、私は棚の上に無造作に置かれたスマートリングを眺めていた。
先輩は、これで「興奮するタイミング」が取れるのではないかと言っていた。なんとも不謹慎な響きだが、同時に自分のそのようなタイミングが彼に観測されていると考えると、なんとも言えないムズムズした感情が湧き上がってくる。
私は仮説を立てた。しばらくつけていなかったけれど、もし本当に、彼がこれでリアルタイムで私の生体データを観測しているとしたら、意図的に彼に異常なデータを叩きつけることができるのではないか。そうしたら彼から連絡が来るのでは?
異常な興奮のデータを生成し、最も彼を惹きつけるものとは……。私はベッドの下にあるキャビネットからあるものを引っ張り出した。
シリコン製の高級感のある黒いボディに輝く黄金色のプレート。LELO Soraya Wave。スウェーデン発の最高級ラグジュアリー・セルフケアブランド「LELO」が出している、「セクシャルウェルネス界のエルメス」と称される非常にデザイン性や機能美が高いトイ、要はバイブレーターだ。
私は、久々にそのチタンの輪を右手の親指にはめて、専用アプリを立ち上げ、同期が完了したことを示すアイコンが点灯するのを確認した。幸いなことに、まだ充電があるらしい。
ショーツを脱ぎ、Soraya Waveに潤滑ジェルを十分に塗り込んだ後、ベッド深くに潜り込んだ。息を深く吸って、それを左手で自分の最深部にゆっくりと滑り込ませた。初めは異物感を感じたが、弱モードで「中」だけゆっくりと押し上げ、徐々に身体に慣らしていく。
右手でスマホを握り、アプリに送られるデータの動きを確認する。安静時60bpm だった心拍数は、LELOの「Wave」機能に同期するように、徐々に 140、150へと跳ね上がる。心拍変動(HRV)は極限まで圧縮され、私の自律神経が「外部からの刺激」によってハックされていることを、0.1ミリ秒単位で報告し続ける。
しだいに、弱い刺激では物足りなくなってくる。私は「外」も「中」も同時に刺激するモードに切り替え、出力も徐々に上げていった。右手のスマホを離して、さらに感覚を研ぎ澄ませた。呼吸が乱れて、切なくなるような、なんとも言えない感覚が内部から込み上げてくる。
無意識に、彼に届けと右手のスマートリングを心臓部にきつく押し当てる。快感が飽和状態に近づくのを感じる。身体の最深部から自分では制御できない感覚がせり上がってくる。すると突然、膣内がぎゅーっと締まるのを感じ、その後激しく収縮した。何度経験してもオーガズムというのは不思議な感覚だ。
呼吸を整えて、汗が引くのを待ち、私はスマホを手にした。アプリで計測された先ほどの絶頂時の心拍数は172bpmだった。その周辺だけ鋭利なスパイクを描いている。
彼はこのデータを観測しているのだろうか……。
ショーツを履いて、トイを洗浄し、片付けをしていると、スマホの画面にふと何かがポップアップした。先ほどの狂乱から30分ほど経過したタイミングだ。
スマホを手にした私は思わずニヤリと笑った。
「スマートリングの様子がおかしいみたいだけど、大丈夫??」
彼から極めて不自然な安否確認が来ていた。

